開業前に押さえておきたい!
病院・クリニックの設備工事の注意点について知る!

病院・クリニックにおいて、設備工事はとても重要な部分です。診察や治療に関わる検査機器の電気容量、給排水・吸排気などを機能させる為の電気容量や空調容量、配管やダクトの設置など、様々なことの見極めが求められます。ここでは、病院・クリニックの設備工事の注意点についてお伝えします。

先ず開業を思い立ったらやるべきこととは?

病院・クリニックの開業を思い立った際には、先ず「どうして開業したいのか?」「どのような病院・クリニックを造りたいか?」と言うように、病院・クリニックのコンセプトを明確化することが大切です。そのコンセプトを目標に、しっかり自分で突き詰めていくことで、安定した開業準備と経営にも繋がっていきます。開業準備を進めていく中、病院・クリニック経営していく中で、様々な決断を医師は迫られます。

そこで、コンセプトと言うのは唯一の判断基準となるものであり、その理由には求められる決断に優劣評価しにくいことが多いからです。例えば、「病院・クリニックの名称をどうするか?」と言うことを考えた際に、何の名称を付けても決して間違いであるは無いですが、コンセプトが無いと判断に迷いが生じたり、それぞれの判断がバラバラになったりすることにも繋がります。コンセプトに合致しているかの基準があると、設備工事に関しても色々な判断がしやすくなります。

病院・クリニックの物件選びで大切なこととは?

出入り口の大きさや医療機器搬入経路

病院・クリニックと言う場所は、患者さんが入って来やすい広い間口の出入り口はもちろん、十分に医療機器を搬入できる経路確認も重要です。医療機器搬入に手こずれば、内装工事スケジュールに影響も及ぼす恐れがあります。円滑な医療機器搬入には、出入り口、通路、他のテナント区画に入らないなど、工事可能である状態か確認しましょう。

天井高・電気設備

天井高や電気設備と言うのは、天井内スペースや室外機置場の位置確認も大事です。医療機器設置には天井高最低2.4mは必要で、天井走行式X線装置の設置では2.7mあると安心です。診察に必要な容量電源確保を確認して、容量不足の場合には容量増加工事の可否も確認が必要です。その理由は、天井内スペースが狭い、配管経路が少ないなど、設置可能なエアコンが限られるからです。室外機置場が屋上、1台の室外機で複数のエアコン制御など、エアコンの種類が眼底される場合は費用も割高になります。

給排水・消防設備

給排水や消防の設備状態も、物件選びでは重要なポイントです。例えば、テナントビルの場合は、衛生設備の排水管位置が決まっているので、位置により衛生器具設置がテナント内に出来ないことがあります。また、病院内設計の際に、給排水設備の設置場所を基準に設計を行えば、動線確保が難しい場合もあります。基本的に、水回り設備の増設と言うのは難しいので、水回りの状況確認しっかり行いましょう。
また、テナント物件の場合は、法で自動火災報知設備や避難口誘導灯など、各部屋への設置義務があります。大規模な建物であればスプリンクラー設置義務がありますが、火災時のスプリンクラー作動で二次被害が生じる恐れがある場合には、補助散水栓などの設置義務が設けられています。

物件の耐荷重

医療機器と言うのは、基本的に重量がある物なので、物件耐荷重も重要なポイントです。なので、例えば、レントゲン機器やウォーターベッドを設置する際には、平米荷重300kg以上は必要です。

耐震構造・アスベストの有無

耐震構造やアスベストの有無も安全面においては重要です。建築基準法改正に伴う新耐震基準を満たした建物であるか、しっかり確認をしましょう。また、法改正以前の物件でも、耐震補強工事が行われていれば特に問題ありません。なので、耐震補強工事の有無は確認して下さい。古い物件には、体に有害とされるアスベスト使用の可能性があるので、アスベスト使用有無確認は必須です。

病院・クリニックの設備工事のポイントとは?

病院・クリニックの電気工事で考慮すべき点について

電気工事に関しては、病院・クリニックの診療科目により検査機器は異なるので、必要電気容量はそれぞれに異なります。最近のレントゲンでは、大体が単相200V仕様ですが、CTやMRIは三相200Vで動力引き込みなので、大容量の電気が必要で、電気容量の重量問題や搬入経路問題などにより、設置することが可能か決定されます。病院・クリニックの全科で使用される機器にも、単相100と200Vタイプがあり、専用電源コンセントの形状、排気有無は確認が必要です。
また、これは電気工事全般に言えますが、近年、照明機器のLED化で照明のメンテナンスも不要になってきましたが、医療器、電子カルテ、複合機の配線、LAN配管など色々なことが複雑になり、医療器や電子カルテの進化速度は早く、設計する際のメンテナンスや機器の買い替えを考慮した計画が必要になってきています。

病院・クリニックの給排水・空調工事で考慮すべき点について

病院・クリニックの給排水工事では、WCの設置位置、流し台周辺の給湯設備、OP準備室のOP用手洗い器など、これらは計画する際の平面計画に影響します。電気工事同様に、現状と今後を見据えた計画が必要になります。WCを多機能WCとしてバリアフリー計画を立てる場合には、床上げせずに排水勾配確保するには、ビル診療所ではスラブ下配管が可能であるか、
または、テナント自体が200㎜程度で床仕上がりから下げて計画されているか、この点が要素として重要になります。それ以外のテナントであれば、病院・クリニック内にスロープなどを設けるような計画になります。特に、排水勾配は重要で、1/50以上の勾配を確保してメンテナンス用排水掃除口を設け、場合によっては漏水感知器を設置します。

また、空調・吸排気設備工事では、病院・クリニックの建築や内装の耐用年数よりも、空調機器や換気機器の耐用年数は短くなっており、約5~10年程度で機器の入れ替えが必要です。入れ替えを行って間もない頃は、フィルターなどの交換も容易で、患者さんやスタッフ数の増加などで空調や換気容量が増えることもあり、増量可能な計画を立てることも重要なポイントになります。

これらを通した上で言えることは、計画する際にテナント自体の基本設備確認、設備の拡張性の確認、機器の耐用年数、メンテナンス性などを考慮し、病院・クリニックの設備工事計画を立てることが大切です。また、診療内容の変化、医療機器の進化など、5年後、10年後の診療内容や患者層の予測も必要となります。なので、設備計画に余裕を持って、しっかり考えた上で工事を進めていきましょう。

まとめ

ここでは、病院・クリニックの設備工事の注意点について色々お伝えしてきましたが、いかがでしたか?経営的な目線で病院・クリニックの設計評価を行う際、設備の重要度と言うのは非常に高く、この部分の関して十分な理解や納得が出来ていない状態で、工事に向けて進めることは危険です。病院・クリニックの設備工事が建設コストに占める割合は、約40%程度と大きな割合を占めています。ランニングコストやライフサイクルコストをしっかり検討し、また、事業継続計画対応を考える上でも理解して、設備工事を行っていくことが大切です。是非、大事なポイントをしっかり押さえて、工事準備を進めていきましょう。